未来をひらく、歴史(前編)


まずはこちらの記事をご覧ください。
最近相次いで指摘されている、履修不足問題ですね。


高校卒業に必要な科目の履修漏れが相次いでいる問題で、多くの高校は90年代半ばか00年代前半のいずれかで、「偽装」を始めていたことが分かった。学校によって時期に若干のばらつきはあるものの、94年度から世界史が必修になったことと、02年度から公立学校の完全週5日制が導入されたことが大きなきっかけになったことがうかがえる。


履修漏れが目立つのは地理歴史だが、この94年度から、学習指導要領上、世界史を必修とし、日本史と地理のいずれかから選択して最低2科目を履修するという現在の形になった。世界史の授業をしなかったり1科目しか履修させなかったりしている高校の大半は、受験に必要ない科目を削ることでカリキュラムを受験対策へシフトさせたと見られる。


高校の必修科目の履修漏れ問題で文部科学省は28日、午前5時半現在のまとめで、履修漏れは32都道府県で計286校あったと発表した。兵庫県は調査が終わっていないため集計に含めておらず、今後、さらに数は増える見通しだ。私立は含んでいない。

 まとめによると、岩手県が31校、北海道29校、長野県28校、静岡県20校などとなっている。286校のうち284校は教育委員会へ提出されていた教育課程と異なる授業が行われていた。

 一方、朝日新聞の独自集計では私立を含めて41都道府県で400校を超えている
 

asahi.com 2006年10月28日付けより
http://www.asahi.com/life/update/1028/010.html


だ、だからいっただろー(ノリマロ風←分かる人だけ分かってください)




何を言ったかというと、この記事はてなアンケートを使って調べたところ、教科書の近代史部分をほとんど学習していない人は85%にのぼることがわかりました。そこで、私はこの国では、もう歴史は教えられていないのだと述べました。


ほらやっぱり言ったとおりです。やはり、歴史は教えられていませんでした。
特に履修不足のターゲットとなった教科が、記事にもあるとおり社会、しかも世界史です。


中国・韓国と歴史認識問題で揉めていて久しいですが、中国人も韓国人も分厚い教科書でしっかりと歴史を学んでいます。私と同じ年くらいの中国人大学院生5人の証言によると、中国における普通の高校は朝から夜暗くなるまで、しかも週6日だったといいます。そう、日本の進学校並みなのです。歴史教科の割合はそこまで多くはありませんが、全体がこれだけおおければ日本よりはるかに勉強していることは容易に想像できます。


記事には世界史を必修としたことと、週休2日になったことが原因とありますが、世界史を必修にし、日本史は選択式にさせたことが原因とあります。


まず、私がはっきりいいたいことは
世界史は、日本史より絶対面白い
ということです。


世界史は、世界各国の文化のルーツを知ることができます。パレスティナ問題や南北問題、インドとパキスタンの問題といった、現代起こっている問題の基礎知識を知ることができます。そして、何よりも日本史ばかり勉強してきた人が陥りやすい、自国中心の見方にもなりにくいものなのです。これが一番大切なことなのですが、くわしくは次回で。


確かに、世界史はそろばんはじいて数字が出てくるわけでもありません。実務に役立つ訳でもありません。受験に使うとしても、範囲の広さも半端ではないため、多くの人にとって、日本史より難しいでしょう。でも、世界史で学んだことは、すぐに結果が出ませんが、あとでじわりじわりと効いてくるものだと私は思います。そう、「就職・受験に強い」といった表面的なものではなく、個人のもっと深いところに根ざしている教科だといえるでしょう。


だから、世界史必修は当然なのです。
マスコミでは、「受験が悪い」・「ゆとり教育がわるい」・「学校が悪い」などと責任論が交わされていますが、なぜ必修になっているのか、歴史、とくに世界史の重要性を指摘する人が皆無であることが、わたしにとって一番悲しいことでした。大学側も、「受験通ったって、世界史の基礎もしっかり勉強してこなかった人なんて、いらないよ!」と言いたいでしょうが、今回は学校側の責任が大きいので、手をこまねいているようです。



早稲田大では、推薦入試の出願期間は多くの学部で終わった。履修漏れがあったとされる学校などに対しては、正しい調査書を再提出させるよう文書で求める方針を決めた。


asahi.com 2006年10月28日より
http://www.asahi.com/special/061027/TKY200610280099.html


その実態をしっかり把握しておきたいという姿勢は、さすがは私立大学の雄、早稲田大学といったところでしょう。


今回は世界史を学ぶことの重要性を指摘したところで、次回はもう少し掘り下げてみたいと思います。